1977年、大阪の高校生によって結成され華々しくデビューしたLAZY。表舞台での活動は約3年半だったが、その後、高崎 晃(Gu)と樋口宗孝(Dr)はLOUDNESSで世界的な活躍を見せ、井上俊次(Key)と田中宏幸(Ba)はNEVERLANDをスタート、影山ヒロノブ(Vo)はアニメソングシンガーとして広く知られるようになった。この伝説的なバンドが再始動したのが1998年。以降は個々の多忙さや樋口と田中の逝去などにより、動きは散発的なものになっていったものの、デビュー40周年となるのを契機に、影山、高崎、井上は改めてLAZYと向き合い、シングル「Slow and Steady」の制作、そして今回の記念公演を行なうこととなった。
オープニングは1stシングル「Hey! I Love you」。軽快なリズムに合わせて、手拍子と振付で応えるオーディエンス。楽曲は時系列に沿って並べられていたが、現在のサウンドが初期のマテリアルの本質的な部分も際立たせていく。「DREAMER」を筆頭とするアルバム『宇宙船地球号』からの名曲群では、ANTHEMの柴田直人が客演。当時の“ヘヴィメタル宣言”を想起させるハードな音像と技巧的なアンサンブルに、場内の温度も一気に上昇した。
復活第一弾シングル「ULTRA HIGH」に始まる後半では、田中が作曲した「My Rest Pose」を披露した際に、往時の5人が17年ぶりに集ったアルバム『Happy Time』録音時の楽しかった思い出を述懐する場面も。とはいえ、彼らの目は未来に向いている。本編を締め括った最新曲「1977」「Wandering Soul」「Happiness~二人で過ごすX'mas~」は、LAZYの多彩な可能性を体現するものでもあった。ベイ・シティ・ローラーズやディープ・パープルのカバーも登場したアンコールの後、メンバーは今後の活動を約束。リユニオン20周年を迎える2018年にも活動を期待したい。
取材:土屋京輔
LAZY
レイジー:メンバーは影山ヒロノブ(Vo)、高崎 晃(Gu)、樋口宗孝(Dr)、田中宏幸(Ba)、井上俊次(Key)。1977年に国内史上最年少のロックバンドとして平均年齢16歳でデビュー。ビジュアル、音楽性ともに10代の女性を中心に魅了し、「赤頭巾ちゃんご用心」などヒット曲を発表するが、人気絶頂の中の80年に突然のヘヴィメタル宣言! 同年12月に日本のハードロック界の先駆者としてその後のシーンにも影響を及ぼす名盤『宇宙船地球号』を発表するが、81年5月に解散。メンバーはそれぞれの道を歩み、影山はソロシンガーとして、高崎と樋口はLOUDNESS、井上と田中はNEVERLANDを結成する。98年3月、『ウルトラマンダイナ』EDテーマ「ULTRA HIGH」で17年振りに再結成し、同年7月に発表したアルバム『Happy Time』で完全復活を遂げる。その後もメンバー独自の活動と並行しつつ、02年11月には『宇宙船地球号II』を発表し、ライヴなどの活動を継続するが、06年に田中、08年には樋口が永眠。故人の精神を継承し、09年4月に奥田民生、斉藤和義、影山がリーダーを務めるJAM Project をサポートミュージシャンに迎え、初期シングル「感じてナイト」のリメイク曲「感じてKnight」を田中と樋口のライヴ音源を使用して、アニメ『真マジンガー衝撃! Z 編』主題歌としてリリースする。11年7月には『トワノクオン』主題歌となった18枚目のシングル「Reckless」を発表。以降、影山の所属レーベルであり、井上が代表取締役を務めるレーベル“ランティス”の周年記念ライヴフェス『10th Anniversary Live ランティス祭り』『15th Anniversary Live ランティス祭り 2014』の他、『Act Against AIDS 2012「アニソンAAA Vol.1」』『Rock Beats Cancer FES』など、チャリティーイベントやライヴイベント出演の活動を行なう。そして17年、デビュー40周年を迎えるアニバーサリーイヤーにシングル「Slow and Steady」のリリース、さらにフルライヴの開催を発表。それぞれの音楽活動40年間を通じて生み出される楽曲への期待は、40年前の頃からのファンからも、それぞれの活動からのファンからも、この冬に向けて高まっていくであろう。