鮮烈なデビューからちょうど1年。欅坂46の1周年記念ワンマン『欅坂46 デビュー1周年ライヴ』は、けやき坂46(ひらがなけやき)の曲を含めリリースされた順番で全楽曲がメンバーの独白映像を挟みながらパフォーマンスしていき、彼女たちの1年間の成長と歩みを国立代々木競技場 第一体育館に集まった1万2000人のファンと共有するような一体感のあるライヴだった。
ここまでを振り返りながら今を語るメンバー映像から開演したライヴは、“もう私達は1年前とは違う”という文字が巨大モニターに映し出され「サイレントマジョリティー」のイントロが流れ出すと大歓声が沸き起こり、大きく枝葉を広げた欅の木の下1周年を祝う“HAPPY BIRTHDAY”の文字が配置されたステージに20人のメンバーが登場。置き場のない思春期の想いが詰め込まれたメッセージ性の強い楽曲を力強いダンスで見事に具現化させ、デビューからわずか8カ月余りで紅白歌合戦に出演するまでの人気グループとなった欅坂だが、その一方で少女らしいかわいいらしさや切なさが歌われた楽曲があることも彼女たちが多くの人に支持を受ける理由でもある。1曲目「サイレントマジョリティー」から「手を繋いで帰ろうか」で構成されたオープニングはまさにそのふたつの魅力が表現されたパートで、ライヴが始まり先ず披露されたこの2曲で会場は瞬く間に欅坂ワールドに包まれた。
3時間以上にわたって行なわれたこの日のライヴは、ペンダント型の昇降照明やメンバー佐藤詩織が描いたグラフィックなど光と鮮やかな色彩を取り入れた美しいステージに加え、中盤以降ではメンバーとファンの距離を縮める移動式のゴンドラステージが多用され、アリーナだけでなく1階、2階席のファンともコミュニケーションが取れる演出が展開。また、全曲披露ということでギターユニットのゆいちゃんず(小泉佑唯、小林由依)、FIVE CARDS(上村莉菜、長沢菜々香、土生瑞穂、渡辺梨加、渡邉理佐)、てちねるゆいちゃんず(平手友梨奈、長濱ねる、今泉、小林)、青空とMARRY(志田愛佳、菅井友香、守屋茜、渡辺、渡邉)という派生ユニットのパフォーマンスや平手のソロ、ひらがなけやきのステージもあり、ロングセットの公演ながらも時間をまったく感じさせない見所の多い作りで最後まで楽しませてくれた。
中でも印象的だったのが、リリースされたばかりの「不協和音」の収録曲パートで初披露されたラップを取り入れたナンバー「エキセントリック」。制服ではないストリートファッションに身を包んだメンバーが、曲中靴を片方脱ぎ頭上で振り回すという今までにはなかった衝撃のパフォーマンスには、現状を維持せずに変化し前に進んでいくグループの強い意志を表しているようにも感じられた。
アンコール最後にひらがなけやきを含め32人で歌った「W-KEYAKIZAKAの詩」の前にキャプテンの菅井は“今までなんでもなかった4月6日でしたが、欅坂に入って今日すごく特別な日になりました”と語っていたが、来年のこの日に欅坂46はどんな姿を見せてくれるのだろうか? 今夏のひらがなけやき増員オーディション開催も発表され、ますます勢いを加速するであろう欅坂46の2年目に注目したい。