結成から約5年、ついに彼らが日本武道館のステージに立った。当然すぐチケットは完売になったものの、バンドにとってこの5年間がいかに濃く、長い道のりであったことか...。この日はそんな積年の思いが爆発した、とんでもなくエモーショナルなライヴだった。
Hiro(Vo)、Teru(Gu)、Nob(Ba)、Kid'z(Dr)が回転式の360度ステージに姿を現し、凄まじい火柱の演出とともに「Nothing in The Story」でスタート。序盤はヒリヒリした激情的な演奏で攻め続け、びっしりと埋まった日本武道館をシンガロング&熱狂の渦に引き込んでいく。それから実写映像による物語風のスクリーンを流し、「Missing You」を皮切りにバラード調の曲調が続き、メランコリーな旋律にも心を根こそぎ奪われた。中盤にKid'zのドラム台がせり上がり、熱きバンドセッションを挟むと、ステージ上でメンバーはますます躍動的に動き、ショーは佳境へと突入。バンドの名付け人に捧げた「Someday」では大合唱が起き、終盤に「Second Limit」「不可逆リプレイス」とアンセム曲を投下すると、曲中に5年後に東京ドーム公演に立つこと、さらにHiroの実兄のバンド名を叫ぶ予想外の展開もあり、心底驚かされた。
また、アンコールでは2015年末をもってバンドを離脱していたSho(Gu)が登場し、場内には悲鳴に似た歓声が沸く。5人による重厚な演奏を響かせると、“最初で最後”と前置きして、家族に向けた「Home」を熱唱。Hiroは大粒の涙を流しながら、その場でうずくまるシーンもあり、ここに集まった観客と“僕だけの物語”を全てシェアする劇的な締め括りで幕を終えた。後にも先にも二度と観ることができないであろう、人間ドラマ炸裂の初日本武道館公演だった。