気が付いたら、彼らの奏でる“音”そのものに、そして歌に心が集中していた。感じたのはIDLMs.のミュージシャン/音楽家としてのさらなる覚醒とその結果。大きな魅力のひとつであり、要でもあるエンターテインメント性はもちろん発揮されていたのだが、これまでのショーアップのための表現ではなく、全ては楽曲を、プレイを、言葉をベストなかたちで鳴り響かせるために機能させていたように思う。
例えば中盤に披露された女性モデルたちによるファッションショーは、IDLMs.ならではの華やかな演出だが、これがお洒落な遊び心として伝わってくるのではなく、その前に演奏された「Marry me」のシンプルかつ奥行きのある世界観からの切り替えと、悠(Vo)がランウェイにラストに登場することでスッときれいに「Crazy」につなげていくという、音楽的必然性のあるものとして存在していたということに思わずハッとさせられた。つまり、彼らの持つあらゆる武器が有機的に昇華していたのだ。
幕開けにIDLMs.のポリシー/アティチュードを体現した「Fashion」を選んできたことから“攻め”が進化したライヴになるのは予想できたが、“楽しく踊れる”こと以上に“聴き惚れる”瞬間が次々と訪れるという音の構築とその流れには、バンドとしての成長の・飛躍ぶりが明確に表れていたように思う。
また、兆志(Gu)が弾くピアノから始まる「Life」で“NO WAR”の意思表示がうかがえる映像を流し、代表曲の「WE ARE YOUNG」でスケールの広がりと深まりを提示したアンコールは、4人がすでに新たなフェイズに入っていることも感じさせてくれた。