“一生分の“ふざけんな”を叫んでください! ふざけていこうぜ、東京!”。そう高らかに叫び始まった『ふざけんな世界、ふざけろよ』のツアーファイナル。東京国際フォーラム ホールCという大きなホールで彼女は大きく手をあげ、「大予言」を歌い始めた。その姿はとても楽しそうで、美しく、強い。さらに総立ちとなっているフロアーからも、大きな声で大合唱する声が聴こえてくる。すでにその温度は高く、「革命」での黒木渚はまさにこの曲の主人公、ジャンヌ・ダルクのようなオーラを感じさせてくれる。
“舞台のような音楽”と言われる通り、彼女のライヴは凝った演出が施される。朗読やこの日のために作られた映像を流し、独特の展開で進んでいくのだ。さらに、彼女の真骨頂である、人間の闇や愛する人への執着心、隠すことのない愛を描いた「ウェット」や「はさみ」では会場の雰囲気を一転させ、その場にいた人たちを物語の世界に引き連れていく。
リリースを重ねるごとに、大きくなっていく黒木渚。しかし、聴いてくれる人がいるからこそ、このライヴができることを彼女は絶対に忘れない。MCのたびに感謝の言葉を何度も重ね、終盤では“人間は極限になるとなぜか笑う。ピンチの時ほど笑っているんです。チクショーチクショーふざけんな! 人生はコメディだ!”と叫び、「ふざけんな世界」をぶつけるように熱唱。大きなホールが“ふざけんな”という言葉でひとつになり、最高の笑顔であふれる空間を見事に作り上げていた。次はどんなライヴを観せてくれるのだろう。そんな期待にあふれる素敵な夜だった