がむしゃらで、ひたむきな想いがあふれ出したステージは、東京に出てきて6年を経たthe ironyとしての覚悟を示していた。しかし、ただ自分たちだけで歩んできたわけじゃない。アグレッシブなナンバーで手拍子や合唱を煽ったり、涙ながらに心に迫るアクトを繰り広げるライヴの中盤、「sprout」の曲中で“力を貸してくれてありがとう”と言った船津陽史(Vo&Gu)が客席に降り、一番後ろの照明・PA卓に登って客席に向かって歌う場面は、バンドとオーディエンスの体温が通じ合っているように感じた。アンコールでは、工藤伊織(Dr)が覚悟を決めたように“もう引けねーわな”と11月23日に渋谷WWWでワンマンライヴを行なうことを発表。この日のおよそ倍のキャパとなる大舞台に挑むわけだが、心をぐっと引き寄せる力を持つ彼らには距離など関係ないと確信した。