ライブレポート

『Qaijff 1st mini album「organism」release tour“after world”final series』

2015年09月11日
@下北沢SHELTER

今年7月、1stミニアルバム『organism』のリリースツアーを対バン形式で駆け抜けたQaijff(クアイフ)。東名阪を回るそのファイナルシリーズ初日は、森 彩乃(Vo&Key)が《こんな世界でも~》のフレーズを弾き語ったのち、“愛したいんだよ、下北沢SHELTER!”と続け、「hello world」で勢いよくスタートした。ギターレスのトライアングルから繰り出されるパワフルで繊細なアンサンブルとポップな歌は、自然にオーディエンスの手拍子を誘い、序盤の「along the coast」あたりで、もうかなりいいムードが生まれている。

“私たちにとって初の東京でのワンマンライヴです。ここにいる全ての人に満足して帰ってもらいたいって思ってます!”と森が改めて意気込みを語ると、中盤は1stフルアルバム『クアイフ』のナンバーを次々に披露。すでに汗が滴り落ちる三輪幸宏(Dr)のソロから始まり、内田旭彦(Ba)が5弦で奏でる「ピラミッドを崩せ」では、トリッキーかつ不穏な世界観、音色使い、転調で魅了し、その緊迫感を引き継いだ「虹を探していた」では、よりエモーショナルに疾走してみせたりと飽きさせない。さらに、今度はミッドテンポの「after rain」をしっとりと聴かせる。そんな流れにQaijffの楽曲の幅広さ、ライヴバンドたる所以が分かりやすく表われていた。

ピアノロックバンドとしてのカッコ良さをアピールした後は、和やかな時間も。7月のツアーで森がラーメンを引くほど食べまくったMCなどに続き、ここまで沈黙を守っていた三輪...ではなく(!?)、ファンにはお馴染みのDJゆーゆーゆきひろが登場! 突如オリジナルジングルに乗せて“ゆーゆー♪ ゆーゆー♪ ゆーゆーゆきひろ!(ゆーゆーゆきひろ!!)”のコール&レスポンスを発動し、サプライズ的に場を盛り上げた。

“何のために生きてるんだろう?とか考えてしまうことって、絶対あると思うんだよね。私たちもそうだから。そんな時にこうやって顔を合わせて一緒に音楽を感じられるライヴハウスっていう場所が本当に大好きです”と森が演奏前に話した「meaning of me」以降は、新作『organism』のテーマである生命感をはじめ、ピュアな葛藤、アイデンティティーに基づく楽曲で畳みかけ、その深みを噛み締めながらライヴはクライマックスへ向かう。そして、内田の鮮やかなタッピング奏法から切り込む「organism」で、プログレッシブポップと呼ばれる3人の個性が大爆発! 速弾きを含むダイナミックなプレイと親しみやすいメロディーは、この日一番の歓声を沸き起こした。

終盤には、内田が“僕ら結成して3年半、ずっと東京ワンマンを夢見てきました。今日、下北沢SHELTERっていう大好きなハコでできてすごく嬉しいです。ありがとうございます! だけど、もっともっと先のステージに行って、いろんな人を巻き込んで、大きくなりたい。だから...これからもついてきてください!!”と熱い気持ちを告げた。まさに、次へ踏み出すような力強いビートと凛とした歌が響く「lost world」で、記念すべき一日を締めた3人。さらに、アンコールに応えて再登場すると、“出し切った”と言いながらも“ツアーを回って見つけた答えを歌にした”新曲「REANSWER」(新サービスで、パスコードを入力してログインする『Luckast』内Qaijffページ=Home Groundスタジオライヴが視聴可)を急遽披露。アンセム感のある4つ打ちで、ここでも次なる胎動を覗かせてくれた。