ミステリアスな空気を漂わせ、官能的なステージを見せるLEONEIL(Vo)とYUTO(Gu)によるユニット、VANIRU。彼らがオーガナイザーを務めるイベントが渋谷で開催された。この日はレトロで上質な音楽“妖艶歌謡”を指向する4人組の音楽集団Bryan Associates Clubと、昨年ベルリン公演を成功させたロックバンドuniverseが登場。Bryan Associates Clubは、彼らが敬愛する華やかなグラムロックスタイルで登場。「ヴェルヴェット思想家」、宇宙的な広がりを感じる楽曲「口紅のポートレート」など8曲を披露し、妖しく濃厚な世界へ観客を誘っていた。もう一組のuniverseは以前、彼らが主宰したイベントにVANIRUも参加したという縁があり、“VANIRUには最高に盛り上げてもらったので、今日は恩返しで、全力でいきたいと思います”と告げる。そして、U2のカバー「Vertigo」からバラード曲「Ms.」まで、幅広い楽曲をプレイ。ストレートな演奏とパフォーマンスで、バンドとしての強い一体感を見せつけた。
そしてイベントを主宰者するVANIRU。スタート曲はギターのYUTOがVANIRUで初めて作ったダンサブルな「LOVE AGAIN」。もともとYUTOはLEONEIL の人間性と音楽像に惹かれて、VANIRUに加入したという経緯がある。彼は“LEONEILと一緒に過ごす中で、彼の隣にいる僕にしか見えない景色を通して、こうしたほうが、彼のエモーショナルな部分を引き出せるんじゃないかな、と考えるようになって。自分にしかできない、彼の一面を引き出した曲を作りたい!と思うようになっていったんです”と語っていた。そこで初めてできたのが、この「LOVE AGAIN」だったという。一方、LEONEIL自身は、YUTOについて最初は“にぎやかな人”という印象だったらしい。しかし、現在は“一緒にやっていて、楽しいですよ。やっぱり、自分になかったものが出てきますから”と信頼を寄せている。このふたりの関係性がVANIRU の魅力のひとつ。LEONEILはYUTOに背中を預けて歌ったり、YUTOのギターソロに合わせシャーマンのように踊ったりしていて、ふたりのパフォーマンスはさらに独特の調和を生み出していた。
どこか遠くを見ているような眼差しで、幻想の世界を描いた「L’Abime」を歌うLEONEIL。一方、倒錯した愛を綴った「柘榴」の時は、フロアにいるひとりひとりを凝視し、ねっとりと絡み付くようなヴォーカルで観客を引き込んでいく。彼らのデビュー曲であり、このイベントのタイトルにもなっている「コズミック・ナイト」では、“Let’s dance”と呼びかけ、会場を熱く揺らしていった。会場からのアンコールの声に応え、YUTOが登場。“今日集まってくれたBryan Associates Club、universe、そしてみんなありがとう”とひと言告げ、ギターをかき鳴らす。そして、LEONEIL もステージに現れ、New Orderの名曲「BLUE MONDAY」のカバーでイベントを締め括った。
ステージを重ねるごとに、彼らの妖美な引力が強まっていって“もっと近づいてみたい”と思わせるVANIRU。11月4日にリリースが予定されているニューシングル「DEAD OR DANCE」では、どんな扉を開けるのか注目が集まる。