2002年3月10日の初ライヴから、キッカリ10年目に行なわれたアニバーサリー・ライヴ。それはthe GazettE10年の歩みを辿ると同時に、彼らの常識知らずな異端ぶりを改めて確認させるものとなった。まず、ラストが定位置だった「未成年」を1曲目に、しかも銀テープ付きで据えた幕開けからしてサプライズ満点! 続けざま「赤いワンピース」「春ニ散リケリ、身ハ枯レルデゴザイマス」と、インディーズ期の人気曲でRUKI(Vo)が踊れば、客席は即座に同じフリを返し、時計を“過去”へと巻き戻してゆく。さらに、歌い出しから悲鳴の起きた「枯詩」、RUKIがギターで弾き語る「Cassis」と、バンドにとって重要なレアチューンを惜しげもなく披露。“今日はマジで10年分をブチ込みましたから”の言葉に偽りはない。が、そこに“10年間で一番ヤバイライヴにしましょう”と続けた通り、後半戦では重厚さ際立つ“現在”のサウンドが炸裂することに。楽器隊のユニゾンが逞しくグルーブする「VERMIN」で花道の先へと走ったRUKIが、“Fall down!”と掲げられる2万人の拳を浴びるさまは圧巻。また、R&B、ヒップホップを大胆に取り入れた「Filth in the beauty」に、歌謡曲をロックンロールに昇華させた「十四歳のナイフ」など、彼らの歴史を彩ってきた斬新な楽曲群に触れ、このルール無用の独創性こそが彼らを頂点にまで押し上げた最大の要因なのだと実感した。最後は10年前に作ったバンド最初の曲「別れ道」を数年振りに、そして、春目前の季節に相応しい「春雪の頃」をプレイ。場内を白とピンクに染める紙吹雪は、どんなに辛い時も“前に進む以外考えていなかった”と語った彼らの“未来”を確かに祝福していた。