《僕らは今でも大きな音を出していて それを誰か笑えるかい》と歌う「theme of us」が1曲目を飾る最新アルバム『Drums,Bass,2(to)Guitars』。バンドを表したタイトルはもちろん、その中で鳴っている音そのものが現在のcinema staffの高いテンション感を物語っていた。そんなアルバムを引っ提げたツアーのファイナル。1曲目「dawnrider」のイントロダクションで辻 友貴(Gu)が?き鳴らすリフに他のメンバーの音が乗った瞬間、バンド内に緊張感が走り、それが客席の高揚感へと飛び火する...そのシーンに鳥肌が立った。そこから一気に加速していく、メンバー&観客のボルテージ。いつものこととはいえ、全身を使って演奏する辻は3曲目にして寝そべってプレイしている。序盤にして場内に立ち込めているのが、スモークなのか熱気なのが分からない状態だ。
そんな中、中盤で「unsung」「fiery」をしっとりとじっくりと聴かせ、インドからやって来たシタール奏者のナマステ氏(辻が扮しているだけなのだが)を迎えてTHE YELLOW MONKEY のカバー「LOVE LOVE SHOW」やエレクトリックシタールを使用した「sitar of bizarre」を披露。バンドの振り幅と遊び心を見せた演出は、本誌のインタビューで“ワンマンでしかできないことをやりたい”と語っていたことのひとつなのだろう。
そして、終盤戦~アンコール。4人が4人によるグルーブを堪能し、満喫していることが見て取れるほど、バンドの緊張感もメンバーの高揚感も最高潮に達していた。『Drums,Bass,2(to)Guitars』ツアーの最終公演は、まさにメンバー自身がバンドの楽しさを再認識したライヴだったと言える。