ほうずきの町

若い二人がひっそりと
2年暮らした 下町は
心細さを 人の情けが
かばってくれた吾妻橋

打ち水、簾(すだれ)、竹しょうぎ
風鈴チリリン 宵の風
そぞろ歩いた ほうずき市の
浴衣姿がうれしくて

隅田川(おおかわ)あたりでお酒を飲んだわね
ほんのり薄紅色の
私の手を取って歩く
あなたの横顔に 風を感じていた

夕げの支度する音が
トントントンと響いたら
鉢植え並ぶ路地の奥へと
子供の下駄が駆けていく

低い家並み ビルになり
そんな景色もないけれど
あの時買った ほおずきの実が
今でもそこにあるようで

仲見世あたりで おみくじ引いたわね
当てにならないんだと
言い聞かせて 枝に結ぶ
私の胸の中 風を感じていた

隅田川あたりでお酒を飲んだわね
ほんのり薄紅色の
私の手を取って歩く
あなたの横顔に 風を感じていた
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