湯の町みれん

ついて来るかい 行きますと
天城を越えた
あの夜は還(かえ)らぬ まぼろしか
小雨の修善寺 湯もやの桂橋
あゝ思い出を 捨てながら こみあげる
女ごころの涙雨 湯の町みれん

遠く聞こえる 蝉(せみ)しぐれ
淋しさ誘う
面影さがして さまよえば
狩野川(かのがわ)せせらぎ 女の愛の日が
あゝなつかしく よみがえる この胸に
ひとりいとしさ抱きしめる 湯の町みれん

縋(すが)るあなたは もういない
伊豆路の春よ
儚(はかな)い女の 夢でした
大仁すぎれば 長岡 湯の香り
あゝひとたびの 逢いたさが つのるのよ
遠いあの人いまどこに 湯の町みれん
×