信濃路暮色

黄昏(きん)に染まった 信濃の川は
まるで解いた 帯のよう
あなた明日(あした)は 他人になって
ちがう列車に 乗るけれど
いいのよいいの 言葉にしたら
逃げてしまうわ 倖(しあわ)せが…

襟をくすぐる 浅間の風に
火照る素肌が 月を待つ
ひと夜契りの 別れが来ても
乳房(むね)に宿して いたいから
いいのよいいの 悲しくたって
そばで眠れる 倖(しあわ)せが…

湯煙(ゆげ)に隠れた 小諸の里が
もしもこの世の 果てならば
ふたりこのまま 霞の中で
恋をつらぬき 暮すけど
いいのよいいの 出逢えただけで
そんな愛でも 倖(しあわ)せが…
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