雨の小京都

思い切るよに 水色の
傘をくるり廻して 消えるひと
音もなく
古都の土塀を ぬらす雨
男のよわさを あきらめて
帰る女に いとしさつのる

愛があるなら 奪ってと
すがりつくよな目を してたひと
白萩の
花のひと枝 さした部屋
女の残した 移り香が
雨にしめって 切なくからむ

わかれ言葉に ふりむかず
うしろ姿のまゝ 消えたひと
酬われぬ
恋の終りに 烟る街
堀割りづたいに 行くひとに
むせび泣くよな 日昏れの雨よ
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