停車場

季節に似合いの停車場に
都会の女がおりて来る
霙でかすんだ広場には
小犬が一匹遊ぶだけ
行ったり来たりの人生は
誰にもあるにはあるけれど
二人で出かけたあのひとが
一人で来るのは 哀しいね

やがてはなくなる停車場の
待合室には人もなく
何年前かの消し忘れ
伝言板には さよならと
泣くのも笑うも人生と
思えば何でもないけれど
それさえ見つめることもなく
終わりになるのは 淋しいね

小雪が降りつむ停車場を
都会の女がまた帰る
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