メモアール

二年も前のことだった
祝福された幸せな
あゝ夢のような結婚だった
優しい女と平凡な男
何の変哲もない暮らしが始まった
台所に立ったエプロン姿の
お前の後姿可愛かったっけ
些細な喧嘩も初めのうちは
抱きしめ合えばやり直せた
幸せになると信じてた
暮らし始めの 二年前‥‥

たまには行きつけの小さなレストラン
二人で食事をしたものだったよ
それでも退屈そうな
おまえの横顔見ると
目の前の料理も冷めてしまうようだった
“帰ろう”と言えば “まだ居たい”と言う
小さな我儘が棘になるのに
一人で帰って 明りのない部屋の
ドアの前に立ちつくし 溜息ついた
すれ違いばかりの生活に
疲れを感じた 一年前‥‥

二年が過ぎた 夢のように
おまえは 愛のかけらを
集め燃やしながら
“戻りたいわ”とつぶやく
別れてしまうのは おまえのせいじゃない
只二人共 ツイてなかっただけ
男の愛は横に広く
女の愛は縦に深いもの
ただ心の深い痛手は
小さな命を壊した罪だけ

ただ心の深い痛手は
小さな命を壊した罪だけ
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