由良川慕情

雪の日に 紙漉く女の
背中で泣く 児の重さ
こんな好い児を 忘れたお方
夜道に迷って いるのでしょうか
由良川の 水がゆるんで
どかっと春が 来る前に
坊やの父御 戻りゃんせ
どこの誰やら 戻りゃんせ

里山の茶畑掠め
渡る風 飛ぶつばめ
丹波綾部の 山坂越えて
どこまで旅する 倖せ求め
由良川に 願い托して
笹舟浮かべ 祈るひと
泣くんじゃないよ 我慢しな
どこの誰やら 我慢しな

由良川で 共に遊んだ
乙女の想い 汲みもせず
ふるさと捨てた ばちあたり
どこの誰やら ばちあたり
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