もう一人

住みなれたはずの街角を
旅人の顔してある日歩くの
灰色の背中かたくして
我先にどこかへ急ぐ日暮れ
ほんとはみなつらいのかしら
かたわらにいてくれる恋人は
恋人でいいの
ああこの心のゆらめき判ってくれる人が
もうひとりいないかと

そよ風の中をふりむいて
見知らない海辺のように歩くの
どの人もかつて幼くて
まどろみに充ちてた事を思う
失くしたもの かえらないのね
心から愛してるあの人は
あの人でいいの
ああ目に見えない翳りを
判ってくれる人が
もうひとりいないかと
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