ハーモニカの詩

夕やけに 鉄棒の影がのび
オルガンの 七つの子
遠く聞こえる

留守番のいやな子が ブランコを
鳥になれ 雲になれ
強くこいでる

ガラス窓 光らせて 陽が沈む
黒板の白い文字
赤く色づく 赤く色づく

砂場には いろいろの忘れ物
ペシャンコのボールだけ
砂にうもれる

赤とんぼ 追いかける子のあとを
コロコロと 柴犬が
追って転がる

ただひとり 赤い靴 はいた子は
さよならも 云わないで
町をはなれる

泣きながら ハーモニカ 吹く日ぐれ
校庭の日もかげり
誰か呼んでる 誰か呼んでる

星空を見上げつつ 歩いたら
くちびるに 塩からい
涙ながれる

くちびるに 塩からい
涙ながれる
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