EPISODE I

蝉時雨 木霊してた 歓声が一瞬止まった
彼の白と相手の赤 接戦は続いていた
生温い酸素と汗の舞う コートに彼は倒れ込んだ
残り5秒の赤のシュートは ゆっくりとネットを揺らした

何に勝とうとして 何に負けたの 私にはまだわからないけど

あなたの夢が終わらないように その涙止まったらまたいっしょに
話そうね いつの日もここにいるから 笑ってるから
私に話してくれた夢が敗れても そしてまた始めるときも
何かを賭けてゆく その姿を いつも見てるから

彼と同じ白を着てる 後輩が校庭を走り去る
彼が目指し敗れたものは 夏の風と共に引き継がれてく
茜色 夕陽がきれいでしょう 秋風吹く公園で二人
スミレ色 夕闇がきれいでしょう このままでいてと祈っていた

何を求めていて 何を失くしてゆくのか 私にはまだわからなかった

どこが終わりかわからないまま 進んで行くことを夢と呼べたらな
憧れて敗れて生まれ消える 愛や生命の意味を知りたいな
あなたの夢が終わらないように この涙止まったらまた二人は
歩こうね いつの日もここにいるから 笑ってるから

あの夏の記憶 覚えたまま また次の夏へと駆けてゆく二人を
あなたを愛したことを忘れずに行くから
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