霧雨楼

格子戸越しに ぼんやりと
頬杖ついて 外(おもて)をみてます

覗きこんでく 人の目は
淋しさだけを 探しているよう

一夜の夢
一夜の恋

わけ合いましょうか 幸福を
黄昏時は 心細く
あなたの名前をつぶやいてます

うなじにかかる 後れ毛を
指でかき上げ 溜息つきます

窓の下には 紫陽花が
絹糸の中 濡れて咲いてます

今宵だけの
今宵の人

わけ合いましょうか 不幸福

雨の季節は 肌寒くて
涙を一枚 重ね着します

この世限り
この世まかせ

わけ合いましょうか 悲しみも

霧雨の降る こんな夜は
飛べない折鶴 祈り続けます
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