オール

月のひかりが 打ち寄せる
部屋は飴色 眠る君

僕らはいつも 抱き合って
互いを深く 沈めあっていた

指を離すよ もうこれ以上
君の全てを 飲み込んでしまう前に

手と手を繋いだまま
重いオールは漕げない
目覚めたら 少しだけ泣いて
朝靄へ漕ぎ出せばいい
ひとりきりで 僕なしでも

東の空に 一つ星
明け残る街 音も無く

コンクリートの波の下
二艘の舟は滑り出して行く

ひきずりながら ためらいながら
でも止まらないで まだきっと間に合うから

目と目を見つめたまま
空の向こうは見えない
錆びついた錨を捨てて
もう一度 漕ぎ出すから
ひとりきりで 君なしでも

微かに残ってた夜と 君の体温を
吹き抜ける風が 連れ去って行く

手と手を繋いだまま
重いオールは漕げない
目覚めたら 少しだけ泣いて
朝靄へ漕ぎ出せばいい

ひとりきりで 僕なしでも
ひとりきりで
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