舞踏会の手帖

こんなに たくさんの
記憶を抱えて
ひとりで生きることは
もう できないわ

もしも あなたが今
扉の向こうへ
消えたなら
私の時は止まるの

香ぐわしい
恋の円舞曲(ワルツ)
こころ 乱す

舞踏会の相手は
あなただけなの
ガラスの靴をはいて
踊る私を 見つめていて

十六夜(いざよい)の木影で
抱かれて踊れば
くちなしのドレスが
ブルウに染まり

ひっそりと
落ちた花に
眠る 香り

舞踏会が終われば
私はひとり
マリオネットになって
機械仕掛けで舞うだけなの

舞踏会の相手は
あなただけなの
誰も知らない愛を
ずっとどこかに憶えていて

舞踏会の手帖に
あなたを綴る
生まれ変わる未来に
きっと もう一度逢えるように
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