エンジンのない舟

肩をお前も たたかれたのか
馬鹿野郎 そう言えず 泣いたのか
俺たちは エンジンのない舟さ
浮き草や 流れ藻と どこか似ている
手で漕ぐ他は 進めない

昭和平成 芝居のように
人のため 世のために 賑やかし
俺たちは エンジンのない舟さ
ひとりでは 渡れない 愛が棲む川
情けに棹(さお)挿し 立ち尽くす

春の夜空に 桜と月か
咲くもよし 朧(おぼろ)げに 散るもよし
俺たちは エンジンのない舟さ
花を見て 夢を積み 時にひとりで
幸せ探す 旅にでる
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