母・子守唄

母ほど強い 人はない
子ほどしがない 者はない
色恋すてた 女がひとり
似たよな男と めぐり逢い
ふるさと肴に 呑みながら
うたう五木の 子守唄

啼くな さわぐな 母恋い鴉
胸の痛みが 母の声

グラスに浮かぶ 面影は
春の小川で 洗い髪
竹籠しょって タラの芽摘んで
門出を祝って 呉れた人
あの山 あの川 変わらねど
母は冷たい 石の下

身を切る恋の 思い出も
笑い話に なりました
色恋すてて 育ててくれた
あの母思えば ただほろり
故郷は茜(あかね)の 雲の涯(は)て
つもる不幸が 身にしみる
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