夜が明けて

夜が明けて手さぐりをしてみた
ぬけがらのとなりには
だれもいない
目をあけて部屋のなか見てみた
陽がもれる窓のそば
だれもいない
夢を追いかけて
ひとりふかすたばこのけむり
白い白い

夜が明けて夢を見たまくらに
あの人のかみの毛が
ひとつのこる
テーブルの灰皿の中には
あの人のすいがらが
ひとつのこる
あせたくちびるを
かんでひいたルージュの赤が
つらいつらい

われた手鏡に
語りかけるおんなの朝は
ひとりひとり
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