夢もどき

愛してないのに 優しさだけで
抱いたのでしょうと うつむくお前
思わずなぐった 涙の頬を
抱きよせ俺まで 泣けた夜
湯の香に咲いた 紅い実ひとつ
似た者同志の 夢もどき

淋しい心の やり場のなさを
お前は躰で ぶつけて来たよ
この胸たたいて 甘えてすがる
愛しい命を 抱きしめる
運命に消える 湯の花なのか
重ねたしあわせ 夢もどき

窓辺のあの音 せせらぎなのに
やらずの雨よと 小指をかんだ
お前の可愛い 女の嘘に
答えてやりたい このままで
明日に生きて みようじゃないか
夜明けの手枕 夢もどき
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