牛若丸

京(きょう)の五条(ごじょう)の橋(はし)の上、
大(だい)のおとこの弁慶(べんけい)は
長い薙刀(なぎなた)ふりあげて、
牛若めがけて切りかかる。

牛若丸は飛び退(の)いて、
持った扇(おうぎ)を投げつけて、
来い来い来いと欄干(らんかん)の
上へあがって手を叩(たた)く。

前やうしろや右左(みぎひだり)、
ここと思えば又(また)あちら、
燕(つばめ)のような早業(はやわざ)に、
鬼(おに)の弁慶あやまった。
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