自殺志願者が線路に飛び込むスピード

「せっかく空を 自由に飛べるように
こんな立派な白い羽根が ついているのに
こんなところに 迷い込んできたら
意味がないじゃない バカだねぇ」
君はそう言うと 便所の小窓を開け
ふわふわ白い羽根の ついたタンポポの種子を
そっと逃がしてあげるのだった
ケツをかきながら 隣に突っ立っている僕を見つめて
「あんたも同じだよ」と 僕の睫毛についた目ヤニを指で弾いた

ナメクジみたいに君の体を這う毎日

自殺志願者が線路に飛び込むスピードで 僕は部屋を飛び出しました
目に映るものすべてをぶっ壊してやりたかったけど
そんな時でも 一番お気に入りのTシャツを着てきた自分がバカバカしくて…

旭川FOLKジャンボリー(そのライブハウス)ではいつも
70年代フォークが流れており
僕は彼らのメッセージに応えるべく 全身を硬直させたんだ
「マスター、家も電話もない人間にアルバイトをさせてくれる
バカな会社がありましたよ」
マスターは人差し指でメガネを押し上げながら
「バカはおめぇだろ」と笑うのでした
こうして僕は 汗水流して働いてなんたらかんたらというヤツを経験したわけだけれど
何故だろう 昇る朝日から眼をそらしてしまうのはいったい 何故だろう

ゴキブリみたいに夜を這う毎日

自殺志願者が線路に飛び込むスピードで
僕は自転車こいで濱埜の家に行きました
「このまま終わってたまるか」なんて言いながら
ファミリーコンピュータの赤いコントローラを
パチパチやってる自分がバカバカしくて…

自殺志願者が線路に飛び込むスピードで
生きていこうと思うんです
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