父は待つ

おまえが小学校にあがる頃
ちいさな仏壇の中の写真をみて
かあちゃん かあちゃん 帰ってきて…と呼ぶ声に俺も泣けた
そして おもいきり抱きしめたっけ

悪いやつだと 云われる度に
親は命が ちぢまる思い
男手ひとつで 育てたせいか
淋しさからんで
淋しさからんで 落ちた穴

やっと入った高校も中退
やけになる寂しい気持は わかっていたさ
お前の親だから

冬の寒さも 必ず春は
花が咲くんだ 元気を出せよ
雨の日迎えの 傘欲しがった
あの日を浮かべて
あの日を浮かべて 詫びる夜

畑仕事も だんだんつらくなってきたよ
でもな おまえに会えるのを楽しみに まだ頑張るよ
今度は心を開き もっともっと語り合おう

昔うたった 夕焼け小焼け
独りしのべば 瞼がにじむ
谷間の暮しも 青空見える
おまえの帰りを
おまえの帰りを 父は待つ
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