遠い街

菜の花のじゅうたんが
敷かれる頃に
この村にやってきた
かわいい女の娘

砂利道に 足をとられてころび
泣く君のおでこに
そのわけも知らず
唇あてた 暖い春の日

幼い約束は 指きりげんまん
秋までの友達を 河原の小石に託し
誰かがおはようと 言った気がして
ふり向くと 朝顔のむこうに 君が笑ってた

お祭りの笛に 誘われたふたり
仲良く手をつないで
風車まわし 野原をかけた
さわやかな夏の日

夕暮れの静けさを
打破るのは
お風呂がいやだと
逃げまわる子供の声

稲刈りも終り 冷たい風を感じる秋の日
この村を離れ 遠くの街へ帰っていった君
さよならを云うために 丘に登れば
田舎道 土けむり 都会へとバスは走る

都会へとバスは走る
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