悲劇のヒロイン

わざと電話したんだよ
きっと君は気まずいと思ってね
心配しなくてもすぐに帰るよ
私のものだけ取りに行くよ

出会ってからもうずっとこのマンション
エレベーターでキスしたの懐かしいね
あぁでもこうやってここにくるのも
これで最後なんだね

笑顔でいようって決めてたのに
なぜか涙が出てきて
かっこわるいってわかってるよ
でもインターホンが鳴らせないよ

まだ好きだって言ったら馬鹿にするよね
笑っちゃうよね
まだ好きだって言ったら頷かないよね
笑ってくれないよね

もう何回、何十回、何百回
開いたドア開けなくなった
いや、弱くない弱くない、私は弱くない
怖くない、焦らないで
冷静にみてたらヤバいね
そういえばいっつもごめんね
今日は月が綺麗だ

インターホンを鳴らした後
どんな顔してたらいいか
考えてもわからないから
かっこつけるね

笑顔でいようって決めてたから
最後まで笑顔でいるね
君は私のものじゃないよ
でも私は君のものだよ

「ここにはなにもなかった。」
そんな顔しないでよ 馬鹿にしないでよ

「こんなはずじゃなかった。」
ここにきてわかったよ ここにきたのは

まだ好きだからだよ

「好きだからだよ。」
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