微熱

テーブルの
花びんが
おちて こわれたあの日
あなたは 細い肩ふるわせて
来るんじゃなかったと
うつむいた
ごめんね
接吻(くちづけ)ぐらい
平気な人だと思った

愛は何時(いつ)でも
蜃気楼
追いかけても
(抱きしめても)
追いかけても
(抱きしめても)
届かぬ 幻(まぼろし)

あなたの黒いその眸(ひとみ)に
うずまいている とまどいは
僕には いえない
理由でもあるのだろう
そう思えば
又 微熱

幸せ
つかまえるのは
苦手だと あなたは
窓を照らしては 通り過ぎる
車のライトを
数えてる
ごめんね
寂しさくらい
笑いとばせると思ってた

愛は何時(いつ)でも
蜃気楼
追いかけても
(抱きしめても)
追いかけても
(抱きしめても)
届かぬ 幻(まぼろし)

静かな寝息をたてる頃
朝日が もう射し込んでくる
あなたの頬に
ひとすじ 伝う涙
そっとぬぐえば
又 微熱……
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