水辺の声

迷子のように腕はらいのけて
何度でも呼んだ名は
最後の最後生き残った場所
僕らまだ遠ざかる舟の上

窓の外は雨が点々と降っていた
透明な瞳は 枯れ落ちた睡蓮の葉に泳ぐうたかた
うつろに

さえぎる声に耳ふさいだまま
どんな夢を見ているの
本当はもっと自由になれる
君と同じように

結び目はほどけて 簡単な合言葉
もう一度汽笛は鳴り止んだ
群青の影飛びこんでゆく

両手に満ちた 春の海 沈むよう
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