恋路海岸

愛しくて 愛しくて
寄せては引く波を見てた
忘れたくて 二人のことすべてを
恋路は霧雨の中

遙かなる冬の浜辺
幻とたたずむ駅
潮風 赤錆びた鉄格子
無人の待合室
むきだしの樹々の肌と
カタカタと黒い電車

古都(まち)を出て北へのぼる
想い出だけ重ね着して
しだれ柳 なぐさめるように
能登路は雨にかすむ

夕暮れに追われながら
この場所へたどり着いた
湯煙り ストーブの向こう側
震える海岸線
愛しくて 愛おしくて
寒流に空も凍る

せつなくて せつなくて
捨てられた紙人形
恋路海岸 めぐりあいの悲しさ
うつろな夢のかたち
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