旅の宿

浴衣(ゆかた)のきみは 尾花のかんざし
熱燗徳利(あつかんとっくり)の首 つまんで
もういっぱい いかがなんて
みょうに色っぽいね

ぼくはぼくで 胡坐をかいて
きみの頬(ほほ)と耳は まっかっか
ああ 風流だなんて
ひとつ俳句でもひねって

部屋の灯(あかり)を すっかり消して
風呂あがりの髪 いい香り
上弦(じょうげん)の月だったけ
ひさしぶりだね 月見るなんて

ぼくはすっかり 酔(よ)っちまって
きみの膝枕(ひざまくら)に うっとり
もう飲みすぎちまって
きみを抱く気にも なれないみたい
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