花暦

春は一夜の桜(はな)の宴 浮世の盃 花をつぎ
秋は楓の舟をだし 河流(かりゅう)の旅人 歌に読む
幾歳月が過ぎゆくとも 人はさみしい荒野原

わたしは風 たったひと吹きで
いにしえを 舞いあげて
わたしは風 たったひと吹きで
心に彩をそえる

夏はまぶしい娘等を 百合の香りに包み込み
冬は紅さす恋の女(ひと) 風花一輪 簪(かんざし)に
想い焦がれて時が熟すとも 人は咲かせる花がない

わたしは風 たったひと吹きで
いにしえを 舞いあげて
わたしは風 たったひと吹きで
心に彩をそえる
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