Door

片道だけの切符でも
いいと思えたあの日々が
今ひどく遠い夢のように
午後の雨に沈んでゆく

きっと 運命のひとだと
胸が 躍った恋だった
いつか 身勝手なあなたの孤独も
時間のやさしさに溶けると
信じたけど

いつまでも開かないドアがまだあるのね
ふたりでいるとひとりきりになるの
少しずつ萎れてゆく愛を
息を止めて今はただ 眺めるだけ

バーボンソーダを傾けて
あなたはまた言葉を飲む
あんなに好きだった 横顔が
他人に見える

そっと 用意してた正論を
ひとつひとつ 並べるの

こんなにも薄情なわたしがいたことも
きっとあなたは知らないままでしょう
悲しいほど強くなってきたの
ふたりだけの砂の城を 守りたくて

窓の外の雨は泣き止んで
青空だけがきれいね

いつまでも開かないドアの向こうにいる
あなたに会えるその日を待ってたの
だけどもう 夢の見方さえも
思い出せないほど遠くへきたの
さようなら わたしのだめなひと
今より素敵な場所へ
もっと確かな明日へ 先にゆくわ
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