復讐の紅いバラ

鏡を見て 自分を見て
考えなさいと 言いたそうに
この私を 好きだなんて
冗談でしょうと あいつは言う
大きな目と 高い鼻
白い歯と 紅い口
バカにした笑い声
この女の 鼻っ柱を
へし折らないでは すますものか
いつの日か この俺の
足許に ひざまずき
泣きすがる時がくる

復讐だ 復讐だ
美しいから許せない
真紅なバラを 女の家へ
毎日おくり 毎日とどけ
俺はひそかに爪をとぐ
俺はひそかに爪をとぐ

バラの花を受け取るたび
愛しくなったと あいつは言う
気がついたら あなたのこと
愛していたのと あいつは言う
大きな胸 白い肌
悦びに 濡れた髪
この俺の腕の中
私のこと 棄てないでと
ため息まじりに あいつは言う
俺は身を のけぞらし
真上から 見おろして
その顔に唾(つば)を吐く

復讐だ 復讐だ
美しいから許せない
焼野原に 取り残された
みなし子みたいな 女をみつめ
俺は心で泣いていた
俺は心で泣いていた
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