砂に咲く薔薇

風に舞う白い砂
荷車が花を摘む
誰ひとり知る人が
いないこの街

さみしさ繕うまま
呪文のように泣いた
ゆびきり解く指は
なにをあきらめたの

思い出に気を取られ
ひと駅を乗り過ごす
人は思い違いで
行き先 変わるけど
過ぎてくものなら
かまいはしないで

そこは草原の果て
太陽が朽ちてゆく
ありもしないことだけ
まるでほんとのよう

幸せを数えれば
片手でも事足りる
なのに涙だけは
どうにもきりがない

哀しみも まやかしと
慰めて 空を見る
道は彷徨うほどに
生まれるものだから
捨ててかまわない
心もあるのね
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