浮世 恋の騙し絵

一筆引いた 紅の色
濃いも薄いも 決めかねて
想うひとありゃ 暮れ六つの
鐘の音にも 涙する

梅は咲いたか 桜はまだか
咲けぬあたしは えぇ 松の花

火のない所 深川の
誰と噂か おまえ様
どんな小さな 小火(ぼや)だとて
お江戸燃やしちゃ なりませぬ

猫じゃ猫じゃと 子猫をくれて
猫と置き去り えぇ 罪なひと

夜桜誘う 隅田川
今宵 逢瀬の 屋形船
これが最後のつもりでも
かわす盃 ひざまくら

かしこかしこで 文なら終わり
馬鹿になるのが えぇ 恋の路
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