救世主

振り返ればいつも多数決になれば
誰かが挙げる手の森からはぐれた

繰り返したニュース 指差す時刻表
世界を救う日までひとり待ちぼうけ

特殊能力などない 口下手自嘲症
怪獣を倒すより まずは自分の
ポスターに囲まれて膝抱えた心
カーテン開けなくちゃ オープニングへ

少年漫画で隅っこにそっとクラスメイトとして描かれた
僕にさえ物語が そんなの誰一人見てなどいないかな

誰かを救うため その前にまずは
誰かの悲しみを探しているのかな
正しいと信じて手を挙げてみては
白い目の森の中ひとり待ちぼうけ

少年漫画で隅っこにそっとクラスメイトとして描かれた
僕にさえ物語が ふいに気付いてしまったんだ そんな時に

突然落ちた
完璧な街 真っ白な地図に一滴の雨 現在地から
その時なんだ 僕は僕自身の救世主にさ

少年漫画の大ピンチもきっと 大団円への些細な一ページ
鏡の前ぎこちなく笑った救世主
「僕がきたんだ もう大丈夫さ」
×