遠いロンリネス

「雪が積もり始めたら
暖かいのはなぜ?」
もしもそう尋ねてくれたら

「さよならの街の悲しい景色を
雪が塗りかえるから……」

ぼくはそう答えたくて
空を見上げた
君がマフラー外した

君の冷たい頬に
手をあてたときの
ときめき忘れそうで

やがて雪どけの
せせらぎの冷たさと
今は消えそうなあの頃の
ぼくのロンリネス

お互い隠し合っても
すぐに見つかるもの
恋とはあまりに無防備

そんな強がりの微笑みぎこちなく
君の背中を押せば

君はもう振り向かずに
タラップ駆け上がり
強くドアが閉まる

小さなエアポートの
君までの距離が
こんなに短くても

それは遠すぎて
届かない想い出と
今は戻れないあの頃の
ぼくのロンリネス

ぼくのポケットの中
今見てはダメと
写真を預けてゆく

それはいつまでも
変わらない想い出と
今は戻らないあの頃の
ぼくのロンリネス

今は届かないあの頃の
遠いロンリネス
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