いにしえの橋

墨が滲んだ
絵のように
霧がかかった
東山

鴨の河原に
佇めば
桜(はな)はひととき
夢の跡

流れ流れてくる川に
流れ流れてゆく時よ
思いを架けて渡る日は
誰かに逢える橋がある

祭りの音が
響く空
常世に浮かぶ
月の舟
いつか別れた
人がまだ
路地を曲がれば
いるようで

全部 忘れてゆく川に
全部 委ねてゆく時よ
願いを架けるその先に
あの日に帰る橋がある

思いを架けて渡る日に
明かりが灯る橋がある
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