銀幕にこんがらがって

夜を待たずに深紅の口紅を引く
異国の風が黒髪に絡み付いて

去っていった人は もう戻らないから
身をゆだねましょう あのカンツォーネに

嗚呼 灯りがともる 偽りの物語に
束の間の夢 涙を静かに誘う

思い出に溺れてゆく
週末だけのプリズナー

砂漠を彷徨う亡命者のその様が
乾いた心に折り重なってゆくよう

わずかな痛みで 潤ってゆくはず
見知らぬ街の 幻影に浸らせて

嗚呼 絡み合ってゆく 憧れと戒めとが
魅せられてゆく 銀幕のフォノグラムに

カラカラと音を立てる
フィルムは回り続ける

週末だけのプリズナー
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