忠治旅鴉

小松五郎の 刃(やいば)にかけて
ゆがむ世間を 叩(たた)っきる
さすが忠治と もてはやされて
花も実もある 男のはずが
すがる子分と わかれ酒
落ちて 落ちて赤城の 旅鴉

義理も人情も 人一倍と
褒めた奴さえ 去ってゆく
さすが忠治と もてはやされて
逃げた赤城の てっぺんあたり
行くも帰るも 下り坂
明日(あす)は 明日はどうなる 旅鴉

落葉(おちば)しとねに 身を折りまげて
明日(あす)の行く手を 思案する
さすが忠治と もてはやされて
夢も栄華(えいが)も 赤城の山の
暗い夜明けに 捨てて発(た)つ
忠治 忠治しぐれか 旅鴉
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