肖像

歩道橋の上から見える景色は嫌い
叫びたくなる気持ちが嫌い
遠くに見える ビルのライトは
ここにいるよと 知らせたがってる
街路樹の枝にからみつく
風船は風にもがいては 遠い空を憧れている

人恋しくて 街を歩けば
私は おこってるような顔をしている
人恋しくて 着飾り歩いてみても
変わりばえのしない 私の心

私のせっかくのおしゃれを笑うように
ショーウィンドウの人形はかわいい
覗き込んだ私の笑顔は
泣いているようで とってもおかしい
人混の中にまぎれて ぶつかり合うその肩は
すれちがうことよりも 嬉しい

人恋しくて 夜になれば
すべての部屋の灯りに スイッチを入れる
人恋しくて 夜になれば
音を消したTVが 一番の友達になる

人恋しくて 街を歩けば
私は おこってるような顔をしている
人恋しくて 夜になれば
音を消したTVが 一番の友達になる
×