愛だけしかない景色

ゆるやかな斜面を行く
並んだ3つの後ろ姿を
暮れてゆく最後の日射しが
こがねいろに描き出している

風さえも
声をひそめ 音はなく 時はなくなり

完璧な愛の姿を わたしはただ
茫然と見ていた

澱(おり)のように
居座った かなしみは ちからを失い

完璧な愛の姿 愛だけしかない景色
これ以上いったい 何を
わたしは望むというのだろうか
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