港の迷い雪

別れ言葉も 残さずに
夜明け出船で 消えた人
面影桟橋 佇めば
涙の花びら 雪になる
風にひとひら ちぎれて飛んで
わたし港の 迷い雪

かもめみたいな あなたでも
貸してあげたい 膝枕
ふたりで過ごした 想い出を
夢だと海には 流せない
暗い波間に 舞い散る雪よ
どうか知らせて 迷い雪

未練心と 知りながら
離れられない 港町
西陽の淋しい 浜辺には
ちらつく雪さえ はかなくて
ひとり寒さを 抱きしめながら
あなた待ちます 迷い雪
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