朧月夜

菜の花畠に 入り日薄れ
見わたす山の端 霞ふかし

春風そよふく空を見れば
夕月かかりて におい淡し

里わの火影も 森の色も
田中の小路を たどる人も

蛙のなくねも かねの音も
さながら霞める 朧月夜

宵闇かそけく頬をかすめ
花かげ惑わす朧月夜
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